玄関引き戸の鍵交換!種類や測り方とDIY手順・業者費用を解説
こんにちは。カギの修理屋さん、運営者の「藤田 政昭」です。
「玄関の鍵が開けにくくなった」「防犯性の高いディンプルキーに交換したい」そう思っても、引き戸の鍵交換は開き戸と比べて少し複雑そうに感じていませんか?スライドする扉の特性上、種類やサイズの確認がとても重要で、間違った部品を買ってしまうと取り付けられないこともあります。しかし、正しい測り方と手順さえ理解すれば、DIYでの交換も十分に可能ですし、業者に頼む際も費用を抑えるポイントが見えてきます。この記事では、プロの視点から失敗しない選び方と交換のコツをわかりやすくお伝えします。
- 自宅の引き戸に合う鍵の種類とメーカーの特定方法
- 失敗しないためのサイズ測定とチリ寸法の重要性
- 自分で交換するための具体的な手順と調整のコツ
- 業者に依頼した場合の費用相場と安く抑える方法
失敗しない引き戸の鍵交換と選び方
引き戸の鍵交換で最も多い失敗は「部品の買い間違い」です。見た目が似ていても、メーカーや寸法が数ミリ違うだけで取り付けられないことがよくあります。まずは、ご自宅の引き戸錠がどのタイプに分類されるのか、そして交換用製品を選ぶために絶対に必要な「測るべき場所」について、プロの知識を交えて解説していきます。
玄関の引違戸錠の種類とメーカー
まず最初に、あなたが交換しようとしている鍵がどのタイプなのかを明確にしましょう。引き戸の鍵は、設置されている場所によって大きく2つに分けられます。
一つ目は「召し合わせ錠(引違戸錠)」です。これは2枚の引き戸が中央で重なる部分についている鍵のこと。室内側と室外側のユニットで扉を挟み込み、鎌(カマ)のようなフックでお互いを引き寄せてロックする仕組みです。最も交換需要が多く、各メーカーから「万能型」と呼ばれる交換用製品が多く出ています。
二つ目は「戸先錠(とさきじょう)」です。これは引き戸の端っこ(戸先)と、壁側の柱が当たる部分についている鍵です。こちらはサッシメーカーごとの独自規格(OEM)で作られていることが多く、交換部品の選定には少し専門的な知識が必要になります。
代表的な鍵メーカーとサッシメーカー 鍵そのものを作っているのは、MIWA(美和ロック)、WEST(ウエスト)、GOAL(ゴール)、ALPHA(アルファ)などのロック専門メーカーです。 一方、YKK APやLIXIL(トステム)、三協アルミなどのサッシメーカーのロゴが入っている鍵も、中身はこれらロックメーカーが製造していることがほとんどです。
引き戸の鍵を自分で交換する方法
「自分で交換できるかな?」と不安に思う方も多いですが、召し合わせ錠であれば、DIYでの交換は決して難しくありません。基本的なプロセスをご紹介します。
まずは古い鍵の取り外しです。室内側の化粧座にあるビスを緩めて外します。長年使っているとビスが固着していることがあるので、ネジ山を潰さないように注意してください。本体が外れたら、扉に残った穴(切り欠き穴)の状態を確認します。
次に新しい鍵の取り付けです。ここで重要なのが「位置合わせ」です。室外側と室内側のユニットを、扉を挟んで合体させるのですが、引き戸の場合は「鍵をかけた時に鎌がスムーズに受け座に引っかかるか」を確認しながら微調整する必要があります。いきなりビスを本締めせず、仮止めの状態で鍵の開け閉め動作を確認し、スムーズに動く位置を見つけてからしっかりと固定しましょう。
古い引き戸のサイズと測り方の重要性
ここが今回の記事で一番お伝えしたいポイントです。新しい鍵を買う前に、必ず以下の4つの寸法をミリ単位で測ってください。これを怠ると、買った鍵が無駄になってしまいます。
この部分は横にスクロールできます。
| 測定項目 | 測り方のポイント | 重要性 |
|---|---|---|
| ドアの厚み(扉厚) | ドアパネル自体の厚さを測ります。 | ビスの長さや連結ピンの長さに影響します。 |
| 切り欠き寸法 | 古い鍵を外した後に残る穴の縦と横のサイズ。 | 新しい鍵本体が穴に入るかどうかの決定打です。 |
| チリ寸法(散り) | 閉めた時の、外側のドアと内側のドアの隙間の幅。 | 引き戸特有の数値。5mm~12mm程度が一般的です。 |
| 見付け・バックセット | 化粧座のサイズと、ドア端から鍵穴中心までの距離。 | 特に戸先錠の場合に重要になります。 |
特に「切り欠き寸法」と「チリ寸法」は重要です。古い規格のドアだと、現代の万能錠を入れるには穴を少し削って広げる加工(金属加工)が必要になるケースもあります。DIYでやるなら、加工なしでポン付けできるサイズの商品を選ぶのが鉄則です。
ホームセンターで買えるおすすめの鍵
ホームセンターやネット通販でよく見かける「万能型引違戸錠」は、DIYユーザーの強い味方です。私のおすすめは、WEST(ウエスト)社の333シリーズや、MIWAのPSSL09シリーズです。
これらの製品がなぜ「万能」かというと、様々なサイズの切り欠き穴に対応できるよう、取り付けプレートがスライドしたり、豊富なスペーサー(厚み調整板)が付属しているからです。また、鍵の操作も「押して回す」古いタイプから、「差し込んで回すだけ(リバーシブル)」の使いやすいタイプに進化しています。防犯性もピッキングに強いディンプルキーが標準装備されているので、交換するだけでセキュリティレベルが格段に上がります。
YKKやLIXILなどサッシメーカーの鍵
「うちの玄関はYKKなんだけど、YKKの鍵を買わなきゃダメ?」という質問をよく頂きます。結論から言うと、必ずしもメーカー純正品である必要はありません。
先ほど触れたように、サッシメーカーのロゴが入った「純正部品」は、中身はMIWAやWEST製であることが多いです。サッシメーカー経由で注文すると「純正パッケージ代」として価格が高くなる傾向があります。寸法さえ合えば、ロックメーカーが販売している「汎用品」で代用でき、コストを数千円安く抑えられる可能性があります。
注意点 ただし、戸先錠や一部の特殊な高級玄関ドアの場合、専用設計のケースロックが使われており、汎用品が存在しないこともあります。その場合はサッシメーカーのメンテナンス部品を手配する必要があります。
引き戸の鍵交換にかかる費用と注意点
鍵交換を検討する際、やはり気になるのはお金の話ですよね。自分でやる場合の部品代と、業者に頼む場合の相場、そして引き戸ならではの「建付け」に関する注意点について、包み隠さずお話しします。
引き戸の鍵交換の値段と業者相場
費用は「DIY」か「業者依頼」かで大きく異なります。
- DIY(自分で交換)の場合 かかるのは部品代のみです。一般的な万能型召し合わせ錠なら、5,000円~15,000円程度で購入可能です。ディンプルキーなどの高性能なものほど高くなります。
- 鍵業者に依頼する場合 部品代に加え、作業工賃と出張費がかかります。相場としては、総額で25,000円~45,000円程度を見ておくと良いでしょう。
業者の価格には「技術料」が含まれています。引き戸は後述する「位置調整」が難しいため、自信がない方や、古い鍵が錆びついて外れない場合は、プロに頼む価値は十分にあります。
防犯性の高いディンプルキーへの交換
もし現在お使いの鍵が、ギザギザした山のある「ディスクシリンダー」や「ピンシリンダー」なら、早めの交換をおすすめします。これらはピッキングという不正開錠の手口に対して非常に弱く、プロなら数分で開けられてしまうこともあります。
交換するなら、表面にボコボコとした窪みがある「ディンプルキー」を選びましょう。複雑な内部構造を持ち、ピッキング耐性が極めて高いため、空き巣被害のリスクを大幅に減らすことができます。現在市販されている万能錠のほとんどは、このディンプルキーが標準採用されています。
鍵が外れない時の外し方と対処法
いざ交換しようとしたら「ネジが錆びて回らない!」というトラブルは現場でもよくあります。特に玄関は雨風にさらされるため、内部で腐食が進んでいることが多いのです。
無理にドライバーで回そうとすると、ネジ頭(+の溝)が潰れてしまい、余計に外せなくなります。まずは「ネジの滑り止め液」を使ったり、貫通ドライバーを当ててハンマーで叩きショックを与えたりしてみましょう。それでもダメなら、ネジ頭をドリルで破壊するなどの荒療治が必要になりますが、これはドアを傷つけるリスクが高いため、無理せず専門業者に相談することをお勧めします。
潤滑油の注意点 鍵穴(シリンダー内部)には、KURE 5-56などの一般的な油性潤滑剤を絶対にスプレーしないでください。内部の埃が油で固まり、故障の原因になります。必ず「鍵穴専用のパウダー潤滑剤」を使用してください。
取り付け後のチリ寸法と調整のコツ
引き戸の鍵交換で最もプロの腕が問われるのが、この「チリ合わせ」です。チリとは、2枚の引き戸の隙間のことです。
古い日本家屋などでは、建物の歪みによって「ドアの上の方は隙間が広いのに、下の方は狭い」といった状態になっていることがあります。このまま新しい鍵をつけると、鍵をかけた時にドアが無理に引っ張られたり、逆に届かなかったりします。万能錠には厚みの異なる「スペーサー(敷板)」が何枚も付属しているので、これを挟んで高さや奥行きを微調整し、鎌がストレスなく受け座に収まる位置を探り当てることが、長持ちさせる秘訣です。
安全な引き戸の鍵交換で防犯対策
最後に、引き戸ならではのセキュリティ対策についてお伝えします。引き戸は構造上、ドア全体を上に持ち上げてレールから外す「戸外し」という手口に弱い側面があります。
最新の召し合わせ錠には、この持ち上げを防ぐ「プロテクター」や「アンチリフトピン」という機構が備わっています。交換の際は、単に鍵がかかるだけでなく、こうした耐破壊性能もしっかり考慮された製品を選ぶことが大切です。また、予算が許せば、召し合わせ錠だけでなく戸先錠も交換する、あるいは補助錠を追加して「ワンドア・ツーロック」にすることで、防犯性能は鉄壁になります。
引き戸の鍵交換は、寸法さえ間違えなければDIYでも十分可能です。まずはメジャーを持って、ご自宅のドアを測ってみることから始めてみませんか?










